愛犬が「カハッ」と咳をする!その原因や考えられる病気・対処法

愛犬が「カハッ」と咳をする!その原因や考えられる病気・対処法

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はじめに

咳には、大きな病気が隠れている場合があります。
愛犬が咳をした時、様子を見て良いのか、動物病院に行くべきか、愛犬の状態をしっかりと観察する必要があります。
今回は、犬の咳の原因や考えられる病気とその治療方法などを紹介します。

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こんな咳は、様子をみよう

喉や気管支、肺には、刺激やウイルスなどの侵入者を感知すると、咳をして強制的に体外へ吐き出す機能があります。
これは、人間も同様で、身体の正常な反応です。
咳の状況が次の2つの場合は、様子をみてみると良いでしょう。

水を飲む時、一時的に「カハッ」と咳をする

犬が水を一度にたくさん飲むと、咳は出やすくなります。
これは生体反応の一種で、気道に一気に入ってきた水を咳で吐き出そうとするのが原因です。
なのでそれほど心配することはありません。
愛犬の咳が一時的で、その後も元気であれば、様子を見るだけで良いでしょう。
また、水の器を犬の胸の高さ程の台座に置いてあげると、水が重力で気道に入ることを予防しやすくなるため、おすすめです。

散歩中に、一時的に「カハッ」と咳をする

首輪やハーネスのサイズが合わず、気道を圧迫して、咳をしたと考えられます。
愛犬のサイズに合った、首輪やハーネスを使用して、様子を見て下さい。
また、引っ張り癖のある子はグイグイと前へ進んでしまうため、気道を圧迫しがちです。
この場合には、引っ張り癖を治すトレーニングを行い、対処するのがベストです。
対策を行っても、変わらず散歩中に咳をする場合は、獣医師に相談しましょう。

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咳以外にこんな症状がないかチェック!

咳以外に、以下の症状が見られる場合は、呼吸器に、異常が起きている場合があります。
大きな病気が潜んでいる可能性もありますので、すぐに動物病院に連れて行き、獣医師に相談しましょう。

注意すべき症状

  • いつもより、呼吸回数が増えている
  • 熱っぽい
  • 鼻水をたらしている
  • 口を開けて呼吸をしている
  • 首を突き出す様に、呼吸している
  • 休む時に、横にならず、うつ伏せや座っている時間が多い
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注意したい5つの咳と考えられる病気・症状

以下にあげるような5つの咳は、注意したい咳です。
もし愛犬に症状がみられるようであれば、動物病院で診察してもらうようにしましょう。

「ゴホゴホ」と激しい咳をする

犬がゴホゴホと激しい咳をしている場合は、ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)の可能性があります。
ケンネルコフは、人間の風邪のような症状で、がんこな咳が出るのが特徴。
犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウィルスなどの病原体が原因で起こる感染症の一つです。

ケンネルコフの症状

  • 痰のからまない乾いた咳
  • 発熱
  • 子犬の場合、下痢や嘔吐を繰り返すケースも
  • 粘り気のある「膿」のような鼻水が出る

「ガーガー、ゲーゲー」と咳をする

「ガーガー」、「ゲーゲー」といった長く乾いたような咳の場合、気管虚脱の可能性も。
気管虚脱は3種類ありますが、いずれも詳しい原因は未だ解明されていません。
現在のところ、遺伝や老化、肥満などが関係していると考えられています。 

動的頚部気管虚脱

息を吸うときにだけ、気管が変形している状態です。

【症状】
・常に口呼吸になる
・喉の周辺で「ヒーヒー」「ズーズー」「ガーガー」と音がする

原発性気管虚脱

遺伝などが原因で、気管の中央部分が潰れている状態です。

【症状】
・口呼吸になると「ゼーゼー」「ブヒブヒ」「ガーガー」濁音のような音をした呼吸になる

気管・気管支軟化症

息を吸う時に、気道が開き、吐く時は気道がつぶれてしまう状態です。

【症状】
・常に苦しそうな呼吸
・「エエエー」と長く続く咳
・痰をなかなか吐き出せず、ずっと咳をしている

「ゼーゼー」と苦しそうに咳をする

ゼーゼーといった苦しそうな咳の場合、心臓や血管に関わる病気の可能性があります。
「僧帽弁閉鎖不全症」や「犬フィラリア症(犬糸状虫症)」といったケースも考えられるでしょう。

僧帽弁閉鎖不全症

心臓の僧帽弁が閉まらなくなり、血液の一部が逆流して、少し運動をしただけでも、ゼーゼーといった咳などの症状がみられる病気です。
原因は、加齢が関係していると考えられています。

【症状】
・疲れやすくなる
・のどに何かひっかかったような咳をする
・水を飲んだ時に、むせるように咳をする
・激しい運動や興奮した後に、乾いた咳をする
・重症化すると肺水腫を起こし、呼吸が荒くなる

犬フィラリア症(犬糸状虫症)

大量の犬糸状虫が心臓に寄生して、血液の流れを妨げてゼーゼーと苦しそうな咳がみられる病気です。
原因は、犬糸状虫による感染症です。

【症状】
・初期は、食欲不振や軽い咳
・体重が減少
・苦しそうに呼吸をする
・腹囲が大きくなる

くしゃみや鼻水を伴う咳をする

くしゃみや鼻水を伴う咳の場合、犬ジステンパーウイルス感染症の可能性があります。
原因は、ジステンパーウイルスに感染した犬のくしゃみなどを浴びる「飛沫感染」と感染した犬の尿や目やにに触れる「接触感染」で起こります。

【症状】
・初期症状は、くしゃみや鼻水、軽い咳
・進行するとけいれんなどの神経症状が起こる

「ケホケホ」と弱々しい咳をする

ケホケホと弱々しい咳をしている場合、肺炎の可能性も。
肺炎の原因としては、細菌などのウイルス、犬フィラリア症(犬糸状虫症)などの感染症による併発、カビ、誤嚥などが考えられます。

【症状】
・肺の機能が低下し、息を吐く力がなく、弱々しい咳がでる
・進行すると発熱、食欲不振、呼吸困難に陥るケースもある

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病気の治療法や予防法はあるの?

上にあげた注意したい5つの咳から考えられる病気の治療方法と予防法を簡単にご紹介します。
もし診断を受けて、聞き逃してしまったときなど、参考にしてくださいね。

ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)

治療法

ケンネルコフの原因によって、抗生物質や抗ウイルス薬を使用。
薬剤を肺や気管支に送るために、ネブライザーという液状の吸入液を霧状にする医療機械を使用する場合があります。

予防法

ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)の原因が、「犬パラインフルエンザウイルス」の場合は5種以上の混合ワクチンで、「犬アデノウイルス」の場合は、3種以上の混合ワクチンで予防できます。

犬が多く集まる場所に行った後は、愛犬の身体を温かいタオルやシャンプータオルなどでしっかりと拭き取りましょう。

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動的頚部気管虚脱

治療法

肥満が原因の場合は、ダイエットによる減量が有効。
原因に応じて、軟口蓋切除手術が施行される場合があります。

予防法

肥満予防に、食事管理と適切な運動をさせましょう。

原発性気管虚脱

治療法

原発性気管虚脱は、気管全体が何%潰れているかにより、グレードが分けられ、状態に合わせて治療します。

グレード1~3の場合は、内科療法で、鎮咳薬を使用。悪化を予防することが重要です。
グレード4の場合は、気管の形を丸くする外科療法や、気管内ステント術が施行されるでしょう。

予防法

症状を悪化させないことが重要です。
首輪は気管に負担がかかるため、お散歩時にはハーネスがおすすめ。
また、呼吸が苦しくならないように興奮させないようにしましょう。
その他、適切な室温管理が必要です。

気管気管支軟化症

治療法

肥満の子は、腹部で肺を圧迫してしまうため、減量を行い、腹部の圧迫を解除させることが必要です。
気管支拡張剤や去痰薬を使用します。
ネブライザーを使用する場合があります。
痰が排出できないと、気道に痰が留まり、感染症を起こしやすくなります。
急な発熱や咳の悪化は、感染症を起こしている可能性があるため、1~2週間入院し、抗生物質の投与が必要になります。

予防法

一般的に、7歳以上で発症すると考えられています。
パグなどの短頭種は、12歳以降に発症するケースが多いです。
動物病院で、定期的な健康診断をして、病気の早期発見・早期治療をしましょう。

すでに発症している子には、室内の湿度管理が重要です。
室温を40~50%程度に維持してあげましょう。呼吸をするのが少し楽になります。

僧帽弁閉鎖不全症

治療法

運動の制限や塩分制限が必要になります。内科的な治療が中心。
薬は強心薬、利尿剤、血管拡張剤を使用することがあります。
僧帽弁形成術が施行される症例もあります。

予防法

僧帽弁閉鎖不全症は、心音の聴診で心雑音が確認され、発見されます。
動物病院で定期的に健康診断をして、病気の早期発見・早期治療をしましょう。

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犬フィラリア症(犬糸状虫症)

治療法

症状が軽い場合は、駆虫薬を使用します。
心臓の静脈に多くの犬糸状虫が寄生している場合、全身に血液を送れなくなり、命の危険があります。

腹水、胸水、肺水腫、尿が赤い場合は、緊急性の高いので、すぐに病院に行きましょう。犬糸状虫を取り除く手術が施行されます。

予防法

犬フィラリア症(犬糸状虫症)は、注射や飲み薬で100%防げる病気と言われています。

犬ジステンパーウイルス感染症

治療法

有効な治療薬はありません。犬ジステンパーウイルス感染症と診断されたら、他の犬に感染させないために隔離した場所で入院し、症状軽減のために自然治癒力を高める対症療法を行います。

予防法

犬ジステンパーウイルス感染症は、2種以上の混合ワクチンで予防できます。
ワクチンが終了していない子犬は、他の犬と接触させないようにしましょう。

肺炎

治療法

症状が軽度の場合は、気管支拡張剤や肺炎の原因になった細菌やウイルスに応じて、抗生物質または抗ウイルス薬が使用され、自宅で療養となります。

重症の場合は、入院が必要です。酸素室での酸素吸入や点滴で水分を補う治療が行われます。

予防法

犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウィルスに伴う肺炎は、混合ワクチンで予防できます。
犬フィラリア症(犬糸状虫症)に伴う肺炎は、注射や飲み薬で予防できます。
カビに伴う肺炎は、愛犬の過ごす環境を、常に清潔に保つことで予防できます。
誤嚥に伴う肺炎は、気道や食道の機能が低下した高齢犬に起こりやすいため、フードを少しずつ与えるようにし予防しましょう。

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愛犬の咳は、スマホで撮って記録しておこう

愛犬の咳が気になって動物病院を受診しても、獣医師さんの前では咳をしなかった。そんなことも多々あります。
そういったことを防ぐためにも、役立つのが動画
最近ではスマホでパッと動画を撮ることも出来るので、可能であれば愛犬が咳をしていたらすぐ動画を撮っておきましょう。

もし、動画に残せない場合でも、愛犬がどんな咳が出ていたか、いつから症状があるのかなど細かにチェックし、紙に記録しておくと病院での説明時に助けになります。

愛犬が咳をしているときにチェックしておきたい5つの項目

  • どんな咳が出ている?
  • いつから症状がある?
  • 咳は持続している?
  • 食欲はある?
  • 元気はある?
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愛犬のために飼い主さんが出来ること

愛犬の咳には、様々な病気が潜んでいる可能性があります。
もし愛犬の咳が、上で解説したような咳じゃなくとも油断は禁物
ここで解説した病気の可能性は一例に過ぎないため、もし愛犬のことを1番理解している飼い主さんが「何か普段と違うな」と思う時は、迷わず動物病院を受診してくださいね。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
この記事が、少しでも飼い主さんとわんちゃんの役に立てたら嬉しいです。